○網走地区消防組合火災調査規程

平成28年7月7日

訓令第11号

網走地区消防組合火災調査規程(平成3年訓令第6号)の全部を改正する。

目次

第1章 総則(第1条~第9条)

第2章 現場保存(第10条~第12条)

第3章 質問及び資料の提出(第13条~第17条)

第4章 火災原因調査(第18条~第24条)

第5章 火災損害調査(第25条~第28条)

第6章 報告(第29条~第32条)

第7章 雑則(第33条~第35条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)に関し、必要な事項を定めるものとする。

(調査の目的)

第2条 調査は、火災の原因及び損害並びに関係者の行動等を明らかにして、火災予防対策及び警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。

(用語の定義)

第3条 この規程における用語は、次に定めるところによる。

(1) 調査 火災現場から火災予防を主とする消防行政施策の資料を収集するための質問、現場見分等の一連の行動をいう。

(2) 調査員 調査に従事する消防職員をいう。

(3) 関係者等 法第2条第4項に規定する関係者、法第32条第1項に定める関係のある者及び火災の発見者、通報者、初期消火者その他調査の参考となる情報を提供し得る者をいう。

2 前項に定めるもののほか、この規程における用語は、法、火災報告取扱要領(平成6年消防災第100号。以下「取扱要領」という。)その他関係法令において使用する用語の例による。

(調査の区分及び範囲)

第4条 調査は、原因調査及び損害調査に区分する。

2 原因調査は、次の各号に掲げる事項を究明するために行うものとする。

(1) 出火原因 出火前の状況、出火箇所、発火源、経過及び着火物

(2) 延焼拡大の状況 延焼経路及び延焼拡大の要因

(3) 火災初期等の対応 発見、通報、消火、避難及び死傷者発生状況

(4) 消防用設備等の状況 消火設備、警報設備、避難設備等の作動及び使用状況

(5) その他必要な事項

3 損害調査は、次の各号に掲げる事項を明らかにするために行うものとする。

(1) 焼き損害 火災の火炎、高熱等によって焼けた、壊れた、すすけた、変質したもの等の損害

(2) 消火損害 消火活動によって受けた水損、破損、汚損等の損害

(3) 爆発損害 爆発現象の破壊作用より受けた物等の損害であって前2号に該当しない損害

(4) 人的損害 火災によって人体に受けた損害

(調査の責任)

第5条 消防署長(以下「署長」という。)は、その管轄区域内で発生した火災の調査責任を有する。ただし、運行中の車両又は航行中の船舶の火災は、主として消火活動を行った場所を管轄する署長又はこれらの火災があったことについて報告を受けた署長が、航空機の火災は、着陸場所又は墜落場所を管轄する署長が調査責任を有するものとする。

(調査体制の確立)

第6条 署長は、あらかじめ調査員を指定しその調査技術の向上に努めるとともに、調査機材を確保、整備し、調査体制の確立を図らなければならない。

(調査の着手)

第7条 署長は、火災を覚知したときは直ちに調査に着手しなければならない。

(調査員の派遣)

第8条 署長は、調査のため必要があると認める場合は、消防長に対し、消防本部予防課の職員の派遣を要請することができる。

2 消防長は、前項の規定により要請があったとき、又は必要と認めたときは、消防本部予防課の職員を派遣して調査の支援を行わせるものとする。

(調査員の心得)

第9条 調査員は、次に定める事項を遵守しなければならない。

(1) 常に調査上必要な知識の修得及び調査技術の向上に努めること。

(2) 関係者等に対して公平、公正を基本とし、穏健妥当な方法により協力を得るよう努めること。

(3) 調査員相互に連絡協調して、調査全般の進展を図ること。

(4) 調査に当たっては、民事的紛争に関与しないこと。

(5) 関係のある場所へ立ち入るときは、関係者の承諾又は立会いを得ること。

(6) 前号により立会人を求めた場合は、安全管理、健康管理、言動等に細心の配意をすること。

(7) 警察機関、その他の関係機関とは密接な連絡を取り相互に協力して調査を進めること。

第2章 現場保存

(防ぎょ中の現場保存)

第10条 火災に出場した消防職員(以下「消防隊員等」という。)は、出火場所付近の消火活動にあたっては細心の注意を払い、調査に支障を及ぼさないよう現場の保存に努めなければならない。

(鎮火後の現場保存)

第11条 署長は、消火活動が終了した場合において必要があると認めるときは、次に定めるところにより、現場保存の処置を行うものとする。

(1) 現場保存区域を設定し、関係者以外の者をみだりに立ち入らせてはならない。

(2) 現場保存区域は、立入禁止テープその他の方法で表示するものとする。

(3) 現場保存区域の設定は、所轄警察署と連携を密にして行うものとする。

(死者の取扱い)

第12条 消防隊員等は、火災現場において死者を発見したときは、速やかに現場最高指揮者に報告しなければならない。

2 前項の報告を受けた現場最高指揮者は、所轄警察署に通報するとともに必要な措置を講じなければならない。

第3章 質問及び資料の提出

(質問)

第13条 調査員は、関係者等に質問し、火災原因の判定の資料となる事実の把握に努めなければならない。

2 質問を行うときは、場所及び時期などを考慮して関係者等の任意の供述を得るように努め、みだりに供述を誘導してはならない。

3 警察官に逮捕された放火又は失火の犯罪の被疑者に対して質問する場合は、警察官の捜査に支障をきたさないように行わなければならない。

(少年等が関係する質問等)

第14条 少年(18歳未満の者をいう。以下同じ。)、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条に規定する身体障害者又は精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第5条に規定する精神障害者(以下この条において「少年等」という。)の関係する調査を行うにあたっては、恩情と理解をもってあたらなければならない。

2 少年等は、現場見分に立ち会わせてはならない。ただし、年齢、心情その他の事情により支障がないと認められる場合は、この限りでない。

3 少年等に対して、前条に規定する質問をする場合は、立会人をおいて行うものとする。ただし、立会人を置くことにより真実の供述が得られないと判断される場合は、この限りでない。

(質問調書)

第15条 前2条の規定による質問により知り得た事項で火災原因の判定に必要なものについては、質問調書(様式第1号)に録取するものとする。

2 前項の規定により作成した質問調書は、供述者に読み聞かせ又は閲覧させ、誤りがないことを確認のうえ署名を求めるものとする。

3 調査員は、前項の供述者が署名を拒否したときは、その旨を当該質問調書に記載しておかなければならない。

(資料の提出)

第16条 署長は、調査のため必要と認めた資料は、関係者等に対して資料の任意提出を求めるものとする。

2 前項の規定により難いときは、関係者等に対し法第32条第1項及び法第34条第1項の規定により命ずるものとする。この場合において、命令は、資料提出命令書(様式第2号)を交付して行うものとする。

3 前2項の規定により資料の提出を受ける場合は、資料提出書(様式第3号)に資料を添えて提出させるものとする。ただし、所有権を放棄した場合等特に必要がないと認められるときは、この限りでない。

(資料の保管、返還等)

第17条 署長は、前条の規定により提出された資料のうち、提出者が返還を希望するものについては、資料保管書(様式第4号)を交付しなければならない。

2 署長は、提出された資料に保管票(様式第5号)を付すとともに、保管品台帳(様式第6号)に記載し、調査が終了するまで保管しなければならない。

3 前2項により保管している資料について、保管の必要がなくなったものについては保管台帳に必要事項を記載し、返還を希望するものについては第1項の規定により交付した資料保管書と引き換えに資料提出者に返還し、その他のものについては適宜処分するものとする。

第4章 火災原因調査

(調査の原則)

第18条 調査は、事実の確認を主眼とし、先入観念にとらわれることなく、科学的な方法による確認及び合理的な判断に基づき事実の立証に努めなければならない。

(火災出場時の見分)

第19条 消防隊員等は、出場途上における状況及び現場到着時における燃焼及びその推移の状況、戸締り状況、関係者の言動等について、十分に見分しなければならない。

2 前項の規定により見分した者は、火災出場時における見分調書(様式第7号)を作成しなければならない。ただし、火災の状況により作成を必要としないと認めたときは、この限りでない。

(実況見分)

第20条 調査員は、火災現場その他関係のある場所及び物件について綿密に実況見分を行い、調査資料の発見収集に努めなければならない。

2 調査員は、実況見分、関係者に対する質問等による事実等に基づき現場の復元を行うよう努めなければならない。

3 調査員は、前2項の規定による見分を行った場合において必要があると認めるときは、実況見分調書(様式第8号)を作成するものとする。

(図面及び写真)

第21条 前条第1項の規定による見分を行うときは、調査内容を明らかにするため、必要な写真及び図面による記録を行うものとする。

2 写真は、写真貼付紙(様式第9号)に貼付又は印刷し必要な説明を加えるものとする。

3 前項の規定にかかわらず、実況見分調書又は火災原因判定書(実況見分を含むものに限る。)に写真を印刷することでこれに代えることができる。

4 記録した写真は、記録媒体等により整理し、保存しなければならない。

(鑑定の依頼)

第22条 署長は、調査に必要があるときは、鑑定依頼書(様式第10号)により公的機関等に鑑定を依頼することができる。

(関係機関への照会)

第23条 署長は、関係のある官公署等に通報を求めるときは、火災調査関係事項照会書(様式第11号)により行うものとする。

(火災原因の判定)

第24条 調査員は、実況見分、質問その他の資料等を総合的に検討し、火災の原因を判定しなければならない。

2 火災原因を判定したときは、火災原因判定書(様式第12号)を作成しなければならない。

第5章 火災損害調査

(火災損害調査の原則)

第25条 調査員は、り災物件を詳細に調査し、正確な損害の把握に努めなければならない。

(り災申告書等)

第26条 署長は、火災損害調査のため必要があるときは、り災した消防対象物の関係者に対し、り災した物件に応じて次に掲げるり災申告書の提出を求めるものとする。

(1) 不動産り災申告書(様式第13号)

(2) 動産り災申告書(様式第14号)

(3) 車両・船舶・航空機り災申告書(様式第15号)

(4) 林野・その他の物件り災申告書(様式第16号)

2 前項のり災申告書を求めることができない場合又は被害が軽微でその必要がない場合は、火災損害状況調書(様式第17号)を作成しなければならない。

(火災損害額の算定)

第27条 火災損害額の算定は、取扱要領に基づいて行うものとする。

2 火災損害額を算定したときは、損害調査書(様式第18号)を作成しなければならない。

(り災証明)

第28条 り災証明書の交付等については、網走地区消防組合予防規程(平成22年訓令第13号)及び網走地区消防組合手数料条例(平成12年条例第2号)に定めるところによる。

第6章 報告

(速報)

第29条 署長は、火災が発生したときは、鎮火後直ちに火災の概要を火災速報として、火災発生状況速報票(様式第19号)により消防長に報告しなければならない。

2 前項において非火災であった場合は、火災発生状況速報票の火災種別欄に「非火災」、その他該当項目欄に必要事項を記載し報告するものとする。

(火災調査結果の報告)

第30条 署長は、調査が完結したときは、火災調査報告書(様式第20号)を作成し、消防長に報告しなければならない。

2 前項の場合において、死傷者発生の状況に応じ、火災調査報告書の第3面及び第4面若しくは第4面のみを省略することができるものとする。

(調査書類)

第31条 調査員は、前条の規定により作成した火災調査報告書のほか、次の書類のうち必要なものを作成し署長へ報告するものとする。

(1) 火災原因判定書

(2) 実況見分調書

(3) 現場位置図、付近見取図、平面図、その他必要な図面

(4) 写真貼付紙

(5) 火災出場時における見分調書

(6) 質問調書

(7) 損害調査書

(8) 火災損害状況調書

(9) り災申告書

(10) その他必要な資料等

(調査書類の保存)

第32条 前条の規定により作成した調査書類は、網走地区消防組合処務規程(昭和60年訓令第2号)に基づき保存するものとする。

第7章 雑則

(捜査機関等からの照会)

第33条 署長は、火災原因その他の調査事項について、捜査機関、裁判所等から照会があったときは、その内容、目的、その他必要な理由について審査し、必要事項について回答することができる。その際、別に定めるところにより対応するものとする。

(証人、参考人としての出頭)

第34条 調査員は、自ら担当した調査に関して、捜査機関から参考人として出頭を要請され、又は裁判所から証人等として呼出し若しくは召喚を受けた場合は、消防長及び署長にその事案の概要を報告しなければならない。

2 前項の場合において、調査員は、当該要請等に応じて出頭したときは、その結果について消防長及び署長に報告しなければならない。

(委任)

第35条 この規程に定めるもののほか、必要な事項は消防長が別に定める。

この訓令は、平成28年8月1日から施行する。

(令和5年訓令第1号)

この訓令は、令和5年4月1日から施行する。

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網走地区消防組合火災調査規程

平成28年7月7日 訓令第11号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第8編 務/第1章
沿革情報
平成28年7月7日 訓令第11号
令和5年2月27日 訓令第1号